時雨 天

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君からのLINE




今日あった出来事を彼女に報告をする。
既読はつかない。
次の日も楽しかったことを報告する。
もちろん既読はつかない。
またその次の日も美味しいものを食べたよと報告する。
一向に既読はつかない。
毎日、毎日、毎日、報告をするけど既読がつく気配はない。
君からのLINEの返事が返ってこない。いくら待てども。
本当は返ってこない理由なんてわかっている。
ただ、現実を受け止めたくないだけ。ギリっと奥歯を噛み締める。
スマホを壁に投げつけた。ガンっと鈍い音が部屋に響く。
わかっている、こんなことをしても彼女が戻ってくるはずがないことを。
外は雨が降り始めた。徐々に雨足が強くなる。
ふらふらと立ち上がるとスマホを拾いにいく。画面が少し割れていた。
心の中で祈り、震える指でLINEアプリを開いた。奇跡が起きればいいのにと思いつつだが、やっぱり既読はつかない。
神様は意地悪だ。どうして、彼女を天へと連れて行ってしまったのか。なんで、彼女だったのか。彼女が何か悪い事でもしたのだろうか。
考えるだけで、怒りと悲しみ両方が湧き起こる。
画面の割れたスマホに自分の額を強く押し当てて、声にならない声で泣いた。
君からのLINEは既読はつかないし、もう来ない、そんなのわかっている。わかっているんだけど、わかりたくないっ――

9/15/2023, 2:17:46 PM