桜散る人々の感情、不安、喜びを、照らし散らした桃色は、ついにほとんど見えなくなった。ついにと言えど、たった1週間の景色。空に広がっていた桜色。あと何度楽しめるのだろうか。そう思うほど、見られる機会は少ないけれど、日本を象徴する花であり、春を象徴する花であり。大切で、唯一無二で、刹那的。そんな思考をやめて歩き出す視界の端に、孤独に舞い落ちる、最後の花弁が見えた。
4/17/2024, 10:46:57 AM