水嶋

Open App




「なぁ、そろそろ折れて俺と付き合わない?」



大学の講義で会う度にそう話してくるのは高身長の彼。
席が近かったりすることが何回かあり、そこから仲良くなった。



いつからこの会話が始まったのかはもう忘れてしまったけど、どうして私なのか未だに理解できない。




彼は見た目もイケメンの部類に入るだろう。
いくらでも可愛い子が彼女になってくれそうなのにどうして私なのか。




「クロ、毎回それ言ってるけどなんで私なの?」



今まで適当に流していたけど初めてこの内容について質問したかもしれない。そしたら彼は付き合ってなくても分かるくらい優しい表情をした。



「え?だって俺の一目惚れだもん」



「え?!」



「初めての講義の時から凄いタイプで、でも突然話しかけたら怖いかなって席も毎回近くに座って徐々に距離詰めていったつもりだったんだけど…もしかして気付いてなかった?」



「し、知らなかった…」



と言う事は偶々席が近かったわけじゃなくて全部クロの目論見だったわけで



「だから、これまでずーっと奇遇だと思ってた事は全部俺がお前に近づきたかったからなんだけど」



いつも椅子を一つ開けて座っていた筈が今日はその隙間がない。



「それを聞いたら、ちょっとは答え変わりますかね?」



今までにない距離感で内緒話のように囁かれてしまいその日の講義は全く頭に入らなかった。







-これまでずっと-

7/13/2024, 6:12:49 AM