名無しの夜

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あなたがいたから


……時々は、サボったし

鬱々に飲まれかけたりもしていたけれど

親元にいた頃のように囚われきることもなく

さあそろそろ立ち上がらなきゃと、

自らを奮い立たせることができていた



昔、
母に言われた同じ言葉は

「あなたがいる『せい』で」

という含みを感じずにはいられなくて

母の足枷になっていると
強い罪悪感を抱いて苦しかったけれど


真意は、
もしかしたら違ったのかもしれない


母の口から聞きたいとは思わないけれど

苦痛なく、そう思えるようになったのは

私の心の変化——成長なのかもしれない



いつかみんな、
私の手のうちから旅立ってしまったら


私はまた、立ち上がれなくなる日が
来てしまうのかな


思い出だけを脳裏に映して

ズブズブと底なし沼に沈むように

堕ちていく日が来るのかな



誰もいなくなっても

ちゃんと這い上がれるようになっていたいな



それは

『あなた』と出会えて知った

『あなた』からもらった、強さだから


失いたくないな


こう思えるうちは大丈夫だね、きっと


『あなた』が出会ってくれた私を、信じるよ

6/21/2024, 7:00:43 AM