「あせったよー」
「だってびっくりしちゃったんですもん」
ついさっき。
意を決して恋人にサプライズで渡したフェルト生地のジュエリーボックス。中に入っているのはダイヤのはまったプラチナの指輪で、もちろん彼女の左手の薬指のサイズに合わせたもの。
それを彼女に渡した直後、ピタリと止まって泣き出すから、てっきり嫌なんだと思った。
だから渡した直後に謝罪しながら取り上げようとしたのに、「嫌じゃない」と言われホッとしてしまった。
彼女に渡したジュエリーボックスから指輪だけを取り出し、彼女の左手の薬指にはめる。
彼女は口を開けたまま、きらきらした瞳で指輪がはまった左手を見つめていた。
「これからも一緒に歩いてくれる?」
俺の言葉にハッと意識が戻り、俺を見上げる。そして花が咲いたような満面の笑みを俺に向けてくれた。
「もちろんです!!!」
おわり
五〇二、旅は続く
9/30/2025, 12:14:47 PM