水晶

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『紅茶の香り』

会社の良子さんは黒髪の素敵な10個上の大先輩。最近、とても肌艶がいいのでどんなスキンケアをしているのか聞いてみた。するとある癒しグッズにハマっていると言う。「見にくる?」の言葉に私は早速お邪魔することにした。

部屋に入った時から微かに何かが香る。キョロキョロする私に良子さんが見せてくれたのは小さなお皿。真ん中の穴に5cm程の棒が刺さっている。‥お香ですか?と聞くと、良子さんはそれにゆっくりと火を付けた。

立ち上る煙は絶対に何処で嗅いだことがある。あ、もしかして紅茶?「珍しいでしょう?」と良子さん。「まだ他にもあるの。紅茶の香りに合わせるなら絶対これね」と、別な香にも火を付けると、今度は酸味のあるフルーティな香りが漂って来た。それと同時にバニラビーンズの甘ったるい香りも。
苺のショートケーキだ!と叫ぶと、良子さんはにっこりと笑って満足そうに頷いた。

10/28/2024, 6:25:03 AM