てふてふ蝶々

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不法投棄です。
海を汚しています。
私は私自身の体から流れる血を海に捨てています。
急激な怒り。衝動。
そこら辺に落ちてた流木の枝で太ももをブッ刺した。
私は太っているかもしれない。
だって、陸上で夏まで走りまくってたもん。
夏の甲子園ばかり有名だけど、陸上だって大会があって、負けたら卒部。
本当は球技がやりたかったけど、陸上部に入って、短距離の担当になった。
一年生の頃は、全然ダメで、部活の友達とワイワイするのが楽しくて続けたような感じ。
二年生になって、コーチとか指導の先生が褒めてくれるようになったら、メキメキ早くなってそれが嬉しくて朝練も辛くなかった。
0.00秒の戦いに楽しさを感じた。
ただ、ショートカットで日焼けして、足は男子より太い。それが少し恥ずかしくて、好きな男の子がいたけど、告白する事もなく降られた。その子には色白で華奢な彼女ができたから。
それからは部活!走る!早く!
と、自分を鼓舞して部活中心の生活。
お父さんは呆れて、お母さんは成績の心配。
私には今しかない!とばかりに親のお小言なんて無視して部活にのめり込んだ。
遅くまで練習したくて塾もやめた。
大学はスポーツで行くから!と親を説得して高校三生。
春に一年生が入ってきた。
その中に明らかに早く走る子がいた。
同じ短距離で。
聞けば、中学ですでに全国で戦っていたらしい。
後輩だけど先輩みたいな、妙な感じ。
先輩として、負けてなるものかと、走る走る走る。
先生や親の言うことなんて聞いていられない。
私には早く走るしかないから。
夏の大会を前にあろう事か肉離れ。
全治4週間。
大会に出なきゃ成績もない。
スポーツ推薦以外考えてなかった。
もう、私より早く走る一年生が、インターハイに出るのはわかってる。
先生は怪我が治ってからまた陸上すれば良いなんて言うけど、私は今しかなかった。
もう、人生終わったと思う。
だから、いっそ諦めて、足が無ければいいと思う。
だから海に私の血を不法投棄。
携帯も沖に向かって投げ捨てたから不法投棄。
私も自分自身を海へ投げ捨てちゃえば良かったなって思うけど、太ももに木の刺さった女子高生がウロウロ歩いても変だし。
波打ち際に座って、私の血が海へ流れるのを眺めていよう。

8/23/2023, 10:41:47 AM