沈溺 つろ (シズレ)

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「今日はとても天気がいいなぁ…」
スマホを確認すると11時40分。
今日は親友の家に久しぶりに遊びに行く。

「よし、ついたぞ…!」
インターホンを押すと、親友の一華(いちか)が出てきた。

「紬(つむぎ)?もう来たの?笑いらっしゃい、入っていいよ」そう言い、私を家の中に入れてくれた。

何回も来たことがある家なのに、未だに新鮮な感じがする。でも友達の家ってそんなもんか。

「あれ、一華ママは?」
「…んー?なんてー?」
「一華ママはー?」

数秒間沈黙が続き、窓を開けた音が家中に響いた。

「…えっ!?紬!!虫!!虫はいってきた!!」
「はっ!?待って無理だよ!?私何も出来ないよ!?」
「紬!なんとかして!!私が一番無理!!」
そう言い、入ってこっちへ向かってきたと思ったら、
漫画の一コマを切り抜いたかのような転び方をした。

「えっ…ちょ、一華っ…だい…w大丈夫っ…?w」
「何笑ってんのよ!笑」

2人で爆笑しまくったあと、虫が居るか確認をしたら、
既にいなくなっていた。きっと窓から逃げたのだろう。

手を洗い、2階へあがる。
部屋の中へ入り、他愛もない会話をする。

今日はエイプリルフールだから、一華に嘘をつく。
きっと私のこの素晴らしい嘘に騙されるだろう。
演技力には自信がある。

「ねぇねぇ一華ー?」
「どうした?」
「実はね?私宝くじ当たったの!」
「へぇ…笑いくら当たったの?」

まずい。金額を決めていなかった。

「えーっと…1億!!」
「そっか、それは嬉しいね笑」

うんうん、いい感じに騙されてる!!
現在時刻は11時59分。
エイプリルフールは午前中しか嘘をついてはいけない!!あと1分…!まだあと1つくらいならいける!!

「あとね!私昨日彼氏できた!!」
「ふふっ…笑いいね、どんな子?」
「うーんと…めっちゃ背高くてイケメン!」
「いいねぇ…今度会わせてね?本当に紬に相応しいか私がチェックしたい」
「…もちろん!」

スマホを見ると11時59分。
あと数十秒くらいしかなさそう、あともう1つくらいなら…!

そう思い、視線を一華の方に向ける。
するとスマホを見ながら一華が口を開いた。

「私ね、今日の朝お母さん殺しちゃったんだよね〜笑」
「…えっ、えぇ!?」
「お父さんが持ってるネクタイで首絞めたの」
「…そっ、そっかぁ…!あ、ねぇそろそろお菓子食べない?」
「…あぁ、食べよっか」

びっくりしたーー!!一華ったら突然変なこと言わないでよね!!

「ねぇ…一華」
「んー?」
「エイプリルフールって午前中しか嘘つけないの知ってる…?」

「えっ、さすがにそのくらいは知ってるよ笑」
「だっ、だよねー…笑」

スマホの時刻を見ると12時3分だった。





テーマ 「エイプリルフール」
作品名 「嘘になれなかった」

4/1/2026, 12:02:47 PM