ストック

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今日は自宅周辺で大きなお祭りが行われる日だ。
夜空を彩る大輪の花火、大きな御神輿とそれを担ぐ活気のある声、かき氷の屋台には行列ができている。最近はコンビニも屋台みたいにビールやジュースを売ってるんだなぁ。

お祭りというと故郷を思い出す。
山の中の小さな村で娯楽なんてほとんどなかったから、お祭りの日が近づくとワクワクして眠れない日が続いていた。

今になって分かったけど、盛大だと思っていた村のお祭りは、外から見たらとてもささやかなものだった。
出店もなかったし、子どもが楽しめるようなものは何もなかった。
それでも、いつもはない活気と、神様へ感謝を表す厳かさ。
子どもながらにその独特の雰囲気を感じて、楽しいような何かすごいものを見ているような感じがして、そんな不思議な雰囲気が好きだった。
友達と夜遅くまで遊んでいられるのも楽しみだったなぁ。

あの頃の友達は、今どうしているんだろう。
両親の住む家にもそろそろ顔を見に行かないと。

でも、故郷の村はもうない。
湖の下で静かに眠っている。

ふと、あの村のお祭りで祀られていた神様はどこへ行ってしまったのだろうと考える。
土着の神様だったから、今でも湖の底で村を護ってくれているんだろうか。

私は両親に会うための休暇を1日多く取ることにした。
今はダムになってしまったけれど、あの村へ行ってお祭りをしてこよう。
神様だって、寂しいかもしれないから。

7/29/2023, 3:00:46 AM