かたいなか

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「冬晴れ」に関する厨二ふぁんたじーなおはなしを、ふたつほど、ご紹介。
双方、「ここ」ではないどこか、別の世界を舞台としたおはなしでして、
その職場は、「世界線管理局」といいました。

…——まず、ひとつめのおはなしです。
管理局内の超地球規模な広さの難民シェルターは、
人工的に様々な気候、多種多様な環境、一定の規則性をもった季節のうつろいが再現されておって、
その日は冬晴れの雪山で、ドラゴンがごうごう、悲しく吠えておりました。

ぐおおう!がおおう!ぐあおおおん!
人工太陽も正午のあたりまで上がった時刻です。
ドラゴンはとっても、とっても悲しく、
雲ひとつ無い極寒の空に、吠えておりました。

というのも
つい数時間前までそこで焚き火が為されておって
焚き火の上に吊られていた温かいスープが
ドラゴンのドチャクソに好物な味だったのに、
ちょっと諸用を済ませて帰ってきたら、
なんと、焚き火が消えておったのです。

ホントに美味いスープだったのです。

ぎゃおおおおん!ぎゃおおおおん!
ドラゴンは冬晴れに吠えます。
焚き火はキレイに、マナーとルールにのっとって、
生態系への迷惑無く、片付けられておりました。
痕跡も、ゴミも、すこしのスープの残りも、
何も、なにも、無かったのです。

ホントに美味いスープだったのです(大事)
でも、雪山で焚き火をしておったチームは、安全に2日かけて雪山を降りるために、
太陽が登ったのを合図として、そこから離れて、下山を始めてしまったのです。

ぎゃお。ぎゃおう。
ドラゴンはしょんぼりして、自分のお気に入りの昼寝場所へ戻ってゆきました。
遠い向こう側では何やらドーンと、
仮組みの建築物の破損音が、響いておりました。

…——もうひとつの「冬晴れ」のおはなし。
ドラゴンが昼寝の寝床に戻る頃、シェルターの中にある某工業エリアの片隅で、
ドーン!ダダン!
小さなちいさなプレハブ小屋の、天上に大きな穴が空きまして、長いながい角がコンニチハ。

「こんなに大きくしてって言ってないよぉぉ!」
「だって強いといえばデカいだろ」
「それに、それにっ、なに、あのツノ」
「強いといえばツノだろ。でもって、ガシャンガシャンのロボットだろ。

心配すんな。合体ロボ、キングマンダリンのノウハウを詰め込んで、
マンダリンスラッシュならぬ、トルネードスラッシャーみてぇな必殺技も実装した」
「なんでぇぇぇぇ……」

なにやら、プレハブの中から声がします。
管理局の環境整備部、空間管理課の局員、
「テキサストルネード」ことクラブカーフが、
同じく管理局の経理部局員、「スフィンクス」に、
自分の仕事を手伝ってくれる機械式ゴーレム、「テキサスロングホーン」の、
メンテナンスと、バージョンアップを、それぞれ依頼しておったのです。

「強くて頼れるゴーレムにしてほしい」。
クラブカーフもとい、テキサストルネード、目をキラキラ輝かせて言いました。
経理部のスフィンクスは、いろんなオーダーを叶えてくれる、名エンジニアでした。

昨今、管理局は、管理局を敵視している組織が乗り込んできたり、忍び込んだりするので、
そういう怖いのに遭遇しても、守ってもらえるような、強いゴーレムへのチューンアップを、
テキサストルネードは、頼んだのでした。

「頼んだけどッ!頼んだけどさぁ!こんなデカくて!ツノどーんにしてとは!言ってないよぉ!

ロングホーンは元々、ボクのお仕事を手伝ってもらってるゴーレムだったのに、
なんで……なんで…… なんでぇぇ……」

ゴゴ、ロングホーン、ミウゴキトレマセン。
完成披露からのテストで、機械式ゴーレム「テキサスロングホーン」が起動します。
起動した途端に大きく変形して、プレハブの屋根をドンのガン。吹っ飛ばしてしまったのです。

天上からは冬晴れの青が、あらキレイ。
1匹大きなドラゴンが、低空飛行などしています。

「うぅぅ……ロングホーン、ろんぐほーん、
ごめんねぇぇ……」
わぁん。 自分のニックネームの「テキサス」を与えたゴーレムに、テキサストルネードは数十分、
ぎゅーっと、抱きついておったとさ。

「冬晴れ」をお題としたおはなしでした。
おしまい、おしまい。

1/6/2026, 6:26:10 AM