マカロニサラダの妖精

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【花畑】

「妾はシェプスト様 今は蝶の姿だ

だが、元はファラオという高貴な存在だったのだ

今は花の蜜を吸い、人気のない花畑に住んでおる

虫類には妾の特別さに気付かない馬鹿しかおらんが

人間であれば妾に直ぐに気付き、崇拝するであろう?

妾はそなたのような者が来るのを待っておった

そなた、名はなんと言う? 褒美をくれてやろう」

青年は言語能力のある蝶に驚いておるようだった

全く、蝶は人間と話したくないだけだ

誰が話せないと決めたのじゃろうか

「すみません。蝶が話したことに驚いてて…
良ければ家に来ませんか?きっと助けになれますよ」

青年は人の良さそうな笑顔で提案をすると

妾の速度に合わせてゆっくりと歩き出した

青年の家は狭いが、涼しく居心地も悪くなかった

「シェプスト様にご紹介したい者がおります」

「良かろう 連れて来るが良い」

そう言うと、青年は楽しそうに部屋を後にした。

数分後、「入りますよ」という声と共に扉が開いた

その瞬間、何かが妾の体を捕まえた まずい 猫だ

「辞めろ!妾は蝶なのだぞ!辞めろ!辞めてくれ!」

青年は慌てて猫を抱えて猫を落ち着かせた

「駄目だよササミ この子に傷がついたら困る
この子は僕の大事な標本になるんだから、ね?」

妾にはその標本というものが何か分からなかった

だが、その時の青年の顔のその恐ろしいこと、

蝶は多くを望んではならなかったと思い知らされた

あぁ、妾の居場所はここではなかったのだ

蝶は蝶らしく何も知らず

花畑を世界の全てと思えば良かったのだ



9/17/2023, 12:26:49 PM