蓼 つづみ

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娘の親友は、
自分が中学受験の勉強を怠ったせいで、両親が不仲になったのだと思っている。
その語りは驚くほど落ち着いていて、
「自分が勉強しなかったから」
「自分のせいで家の空気が悪くなったから」
と、淡々と因果を自分に引き寄せる。
それが事実かどうかよりも、
彼女にとっては、それが“真実”なのだ。
小5の言葉とは思えないほど筋が通っている。
世界を理解するために、自分を原因に置いて語る。

本当は、こう伝えたい。
「大人の離婚は、子ども一人の行動で決まるものじゃない」
「勉強のことがあったとしても、それは“きっかけ”に見えただけかもしれない」
「大人同士の問題は、子どもからは見えないところで積み重なっている」
だから、“全部を背負わなくていい”と言いたい。

けれど、彼女の目を見ると、
そこにいるのは子どもではなく、
ひとりの大人の女性のようで、
その言葉は野暮かもしれない、と躊躇する。
人はそんなに弱くない。
外野が介入することだろうか、と心が揺れる。

あと一年で両親は離婚し、
彼女は遠くへ引っ越すという。
娘は公立へ進む。
どのみち、道は分かれる。

物憂げな空は、まだ泣きそうではない。
けれど、容赦なく関係を軋ませてくる。

題 物憂げな空

2/25/2026, 10:15:24 PM