霜月はつか

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 私の能力は、死のカウントダウンがわかる能力。
 彼は、時計の針が12を回った頃に亡くなってしまうとわかるのはこの能力のおかげ。
 でもこの能力はとても残酷で、私の好きになった彼は、時計の針が12を回った頃にこの世にいなくなってしまうとわかるのだ。
「ねえ、ゆうまくん?」
「ん?」
 彼のカウントまで残り、1時間。
 私達は、交差点の信号を待っていた。
「なんで私と付き合ってくれたの?」
「んー、お前が好きだったからだよ。」
 そう言って、彼は私の手を持った。
 温かい。
「ねえ、ゆうまくん。私のどこが好き?」
「え?んー、優しくて人このことを思いやれるところかな」
「一番大切にしてるものは?」
「ものか…んー、ゲームかな」
「私といて何が楽しかった?」
「え?もう毎日だよ。学校で会うとき、放課後に遊んだとき、休日のデート、夜の電話とか…」
「将来なにしたい?」
「んー、将来かぁ、大工かな。」
「大工さん?」
「そそ。でも、一番は」
「?」
「お前とずっと一緒にいることだな!」
「っ!…、」
 このとき私は、『私も』とは言えなかった。
「ゆうまくん。大好き」
「?俺も好きだぞ」
「本当に大好き。お願いだからどこにも…」
 このとき、私達は私の家の近くの信号を歩いていた。
 ものすごい速さで、迫ってくる車と目が合う。
「ぇ…」
「つむぎッッ!!!」
 次に目を開くと、そこは真っ赤の地面だった。
「ゆ、ゆうまくん…?」
「…」
 彼は、目を開けない。
「ゆうまくん…ゆうまくんっ!!」
 何度肩を揺さぶっても、びくともしない。
 私は、彼の手を握る。
 冷たい。
「、ずっといっしょにいてよぉ…!大工さんになって、私と一緒に暮らそうよぉ…ねえ、ゆうまくんっ!」
 私の目からは涙が。
「こんな能力、なければいいのにっ!」

 彼の時計の針は、12時を指していた。

2/6/2024, 11:15:39 AM