『時を告げる』
「真っ暗な夜の海で独り、寄せては返す波をじっと見つめ続けてようやく見つけた、きらめく貝殻のようなもの」
友人は、真実とはそういうものだと言った。
そしてこれから、その真実を白日のもとに晒すのだと。
友人にとってはきらめく貝殻でも、人によっては顔を背けるような汚物になることも、唾棄すべき嫌悪の対象になることもあるだろう。
「哀しいことだね」
私にだけ聞こえた小さな呟き。
しかし、すぐに友人はそれまでの寂しげな表情をガラリと変えて、飄々とした顔つきでその場にいる皆に言い渡した。
彼が見つけた真実を差し出す時を告げる宣言を。
「さて皆さん、すべての謎は解けました」
9/7/2024, 6:46:45 AM