NoName

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「また戻ってくるよ」
彼の微笑んだ顔が、ぼやけて見えた。
「いつになったら戻ってきてくれるの?」
「またいつか、お前に会いにいくさ」
私の頭を撫でる手は、いつもと同じくらいに優しくて。

どんどん離れていく背に、涙が頬を伝った。

ーー行かないで、なんて言えなかった。

10/24/2023, 1:00:33 PM