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「距離」

私は学生の頃、勉強とは距離をおいていた。嘘だ。できなかっただけだ。

いや別に東京卍会に入るような、荒くれ者では決してなかったが、かと言って、いじめられっ子だけどボクシングが強いみたいな子でもなかった。

もちろん、見ず知らずの人が紫のバラをくれるような、ある種の天才でもなかったし、ヤンクミのような、実は実家がすごい家でもない。

普通の子が、普通に勉強しなかったら、普通にできない子になりましたというお話だ。そこには、できない子を東大に入れるようにしてくれる桜木弁護士も、登場しない。

そんな子が、やがて大人になり、親になったものだから、その子供は大変だ。

なんせ勉強でわからないところがあっても、私には聞けない。なんとか一緒に解こうと頑張ってはみるが、分からない者同士、解けたためしがない。

教えてくれるのは、学校をサボって機動戦士ガンダムを観に行ったら補導された話とか、家にこもって村上春樹をずっと読んでる間に、大学の前期試験が終わっていた話とか、役には立たないことばかりだ。

そんな情けない親なものだから、世の中知らないことだらけだ。でもこの歳になって、知らなかったことを知った時、わからなかったことが、わかるようになった時、なんとも言えない満足感を感じるようになってきた。遅いけど。

今流行りの「リラーニング」(学び直し)ではないが、今まで手を出さなかった宗教や哲学、経済、金融、地政学など、Kindle Unlimited で読める本を、片っ端から読んでいる

例えば、宇宙の果てについてのネット記事を読んだのも、つい最近だ。こんな面白そうなことを真面目に研究することが仕事だなんて、なんと楽しそうなことか。

宇宙の果てまでの距離が、138億光年という、一体どうしたらそんな数値が出てくるのかは、よくわからないが、なんかとてもロマンのある仕事のように思うのだ。

もちろん当の学者や研究者から言わせれば、国からの補助金やら研究開発費は削られるわ、そのくせ成果は求められるわ、薄給で非正規だわと、実際は大変な仕事なんだろうけれども。ロマンで、飯は食えないと言うことか。高給で中国企業に再就職する技術者も、多いとか。

ちなみに娘の、今就きたい職業は、市役所事務員だそうだ。とても現実的な娘に育っているのだが、もう少し夢があってもいいのではないだろうか。

昔は、プリキュアだったのにな。

12/1/2022, 5:01:56 PM