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【私の日記帳】


10代の頃、日記を書いていた
日記は2冊目あたりまで「日記帳」の形をしていたけれど、そのうちありきたりな罫線ノートに変わった
日記は時々詩になり、散文になり、感想文になり
そうしている間にノートはパソコンに変わった
物語になり、エッセイになり、また日記になり、
そのうち、ふと思いを綴る媒体はスマートフォンになった
誰にも言わない自分だけの世界、価値観、かなしみ、よろこび、視点

当時、私の日記を母が読んでいたと知ったのは去年のことだ
家族から自分の受けた傷は私にも等しく受ける責任があると思い込んでいる姉が、
事もなげに笑いながら教えてくれた
なるほど、だからこのひとは我が子に同じことをするのだろう

母は12年前に他界した
私への深い愛情と興味と疑問を持っていた母に宛てて、
私は時々手紙を書く
便箋だったり、心の中だったり、いろいろだけれど
あのひとは文章を読むことが好きだから丁寧に
日記帳も母も、もう手元にはないのだから

けれど確かに見える気がする
こっそりと隠れて日記帳を広げる母の横顔が
そしてその口元はすこし笑っているのだ

8/27/2024, 12:36:09 AM