『物語の始まり』
朝起きて、ご飯を食べる。会社でも特にトラブルもなく、まっすぐに帰路に着く。夜ご飯と1日のご褒美のお菓子をちょっと食べて寝る。これが私のいつもの日常。今日もこの平穏な日常を過ごす……はずだった。
公園に人が倒れている。
それは帰り道の途中にある公園で、ふと何となく公園を見たら茂みから人間の手が見えた。おそるおそる近づくと19歳くらいの男の子が倒れていた。悲鳴をあげなかった自分を褒めて欲しい。
男の子がうぅんと小さく唸り声を上げた。
「だ、大丈夫ですか?」
控えめに声をかけ、肩を揺すってみる。男の子はパチリと目を開けてこちらを見た。
「…誰?」
「こっちが聞きたいわ!」と叫びたいのを我慢する。なにか答えようと口を開いたところで、ぐぅぅ〜と巨大な音が近くから聞こえてきた。それは男の子の腹の虫だったらしく、男の子は手をお腹に当てて呟く。
「お腹空いた……」
そこで私は、今日特売だからといって買いすぎたお肉の存在を思い出した。
「良かったら、家でご飯食べる?」
そう言って買い物袋を少し揺らすと、彼の目が輝いた。
「食べる!!」
この出会いが私の運命を大きく変えることになるとは思いもしなかった。
【平穏な日常】
3/11/2026, 5:22:23 PM