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今年こそは。
そう何度決意して彼女に背を向けてきただろう。
今や馴染んでしまった距離感を縮めるのが、心の奥底を打ち明けるのが震えるほど恐ろしい。
家が隣同士のくせに。親も寝静まった夜に、自室の窓から顔を出せば、お互い示しあわせたかのように鉢合わせるほどに近いくせに。
それでも家と家の間の植え込みには妙な圧迫感を感じた。下を向けばよりいっそう緊張感は高まった。さらに言えば小学校から高校に至るまでの時間分だけの恐れ多さやら気恥ずかしさやら、言葉にすれば小さく感じられる大きなものを感じた。
今やその植え込みは僕にとっての天の川。この気持ちを伝えることは、天の川を渡ることに等しい。

でも、もう終わりにしたい。

深呼吸をひとつして、窓を開けた。
ガララと窓を開ける音がすれば、合図を受け取ったと向こうの窓も開く。まるで待っていたかのように、彼女の笑顔が光る。
お互い手を振る。用事がなくてもいい間柄。明日の科目とか、お互いの近況、頑張ったこと、面倒だったこと、友達との約束事、今日やったゲーム、ペットの話、LINEが七夕仕様だった話。つまらない話ばかり続けて、眠くなったらまた今度。よくある終わりのはずだった。

でも、もう終わりにしよう。

7/15/2023, 5:54:36 PM