小砂音

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#20 届かぬ想い

ふと予感がして、辺りを見渡した。
すると、ぼくの元へゆらゆらと燈會が流れ着いてきた。

ぼくは引き寄せ、思わずぎゅっと胸に抱いた。
届いた想いを読みながら、目を閉じ、奴の心に浸った。
そこに灯る明かりのように、心がぽっと温まる。
もう1年経ったのか。

初めて見つけた時は、こんな殊勝なことをする奴だったかと驚いたが、確かに意外とこんなことをする奴だとすぐに思い直したっけ。

想いを受け取り、これまでの燈會と一緒に周りに並べた。
お前は長生きだから、ぼくの住処はまるで橙の星の銀河だ。
数えきれないほどの燈會は、消えずに、朽ちずにずっとぼくのそばに在る。

大丈夫、受け取っているよ。
お前とぼくとの間には、届かぬ想いなんてひとつもないよ。

静かに、決して急がずに。
ぼくはただ、お前を待っている。
お前の褪せない想いとともに。

4/15/2023, 1:39:06 PM