「お兄ちゃん、私と結婚してください」
その時の真っ直ぐな君の眼差しが今も脳裏にこびりついて離れない。
どう答えれば、幼い君の心を傷付けずに済むだろう。
そう考えた私の咄嗟の判断がこれだ。
「……君が大きくなっても覚えていたらね」
途端にキラキラと輝くその目は、私にとってあまりにも眩しくて。
君の健やかな成長を心から祈らずにはいられなかった。
「ああ、そんな事もありましたねぇ」
布団に並ぶ裸の大人が二人。
「あの時の君はそれはそれは可愛かったのになあ」
痛む腰から意識を逸らそうと下手なことを喋ったのがいけなかった。
「……今の私は可愛くないですか」
ゆっくりと覆いかぶさってくるからタチが悪い。
そのまま額や頬にちゅ、ちゅと唇を落としてくる。
昨晩あれだけしたと言うのに、押し付けられた下半身の熱量に軽く目眩がした。
「うぅ……可愛くない……」
「そうですか、では可愛いと思って頂けるように頑張ります」
ニコリ、花が綻ぶような笑顔が私の心の柔らかい所を擽る。
4/8/2025, 11:25:15 PM