「ヨウくん、何してるの?」
オレンジ色に染まる公園のすべり台の下で、黒髪の
青年がしゃがみ込んでいた
私の声に、反応して振り返る
影を落とす長いまつ毛に縁取られた魅惑的な黒い瞳が
私を射抜く
ニンマリと弧を描く赤い唇が、白い肌を際立たせた
「ああ、カナコちゃん。こんにちは」
「うん、こんにちは。ヨウくん1人で何やってんの?
何か探してるの?」
「探し物?うーん、そうかも」
ふふっと、あどけない笑みを浮かべてまたぼんやりと
公園の砂を細い指でいじる
その人形のような横顔の美しさに見惚れながら
ヨウくんは、昔から変わってる人だからなぁと思った
「あ、あった」
「よかったね、探し物見つかって、、え、?」
長い指先が、砂の中からつまみ上げたのは
なんと白い骨だった。細く長い、まるで人間の指だったようなもの
「ヨウくん、それ」
「見てみて、カナコちゃん!俺が、昔埋めた宝物!」
「宝物って、、これ、どう見ても人間の骨じゃん!
人間を埋めたってこと!?」
あまりにも無邪気に、宝物などというから恐怖から
大声で詰問する。ヨウくんは、そんな私を見て
キョトンとしている
「何言ってるの?これはね、ただの人間じゃないよ」
「、、どう、いうこと?」
「これはね、母さんの骨なんだ。男を作って俺を捨てて
家を出ようとしたから。だから、公園は俺にとって母さんとの大事な思い出だからここに埋めて誰にも盗られないようにしたんだ」
愛おしそうに笑うヨウくんが、得体の知れない
ナニカに視えた
そうまるで、
「宝物は大事にしまっておきたいけどさ、ほら
たまには掘り起こして眺めたいじゃん。腐敗が進んで骨になればまた、手元に置いておけるよな」
「子供のように」
10/14/2024, 8:42:23 AM