「……一年終わんの早ぇ〜……」
大掃除をするでもなく、友達を呼んで年越しに備えるでもなく、一人でぼーっとコタツに入って寝転がっている。机の上は、食べ終わったみかんの皮が山のように積まれ、コンビニの鍋焼きうどんのゴミがそのまま放置されている。電気を付けるのが面倒で、カーテンも開けっぱなしだし、部屋の光源はテレビのみだ。
「……なんで年越しなのにうどん選んだんだろ……」
全然年末らしいことをしていないことに、若干の焦りが出てきた。しかし、もう時刻は夜にほど近い夕方。何かするには少し遅い時間だ。
結局何もやる気は起きず、起こしかけた上体をまたぼふりと床に沈ませる。薄いのに何故か離れられない座布団が、俺の身体を迎え入れた。
「……蕎麦くらい食べるかな……」
遂に起き上がるのも億劫になって、寝そべった姿勢のまま這うようにして戸棚まで異動した。服に埃が絡んだ気がするが、大掃除ということで言い訳を作る。
「……カップのやつだけど……まぁ……食べないよりは……」
既に夕飯は食べたが、年末くらいいいだろうと己に言い聞かせてインスタントの蕎麦にお湯を注ぐ。ふわりと香った出汁の香りは、やはり食欲をそそられた。
またみかんを剥きながら3分を待つことにして、机の上の皮の山をまた少し高くする。食べ終わる頃には丁度良く3分ほど経っていた。
一口啜って、ふやけた天ぷらを齧る。本来は後入れだが、このふやけて柔らかくなった食感が好きな俺はいつも先入れだ。
「うま……」
ずるずると一人寂しくインスタントの蕎麦を啜り、テレビで垂れ流しにしている大して面白くもないバラエティを眺める。あまりにつまらないが、あまりに贅沢ないつも通りの年末だ。
「……来年はもっといい年末にしよ……」
去年と同じ抱負を抱き、食べ終わった蕎麦のカップをまた机に放置する。窓の外を見れば、あと数十分で年が変わるというのに少しも見た目の変わらない、満天の星空があった。
「……お、今の流れ星じゃね……?」
金、なんて可愛げもない願いを早口で唱え、暗い室内で空を眺める。
案外、こんな怠惰な年末も悪くない、かもしれない。毎年行き着く結論を出して、星に包まれたボロアパートの一室で、俺はまた、大して変わらない新年を迎えるのだった。
テーマ:星に包まれて
12/31/2025, 7:24:00 AM