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お題:子猫

「あぁもう煩いどっか行け!」
私は薄汚れた毛玉を追い払おうと必死だった。
しかし薄汚れた毛玉はミーミー鳴きながらと私の後をついて来る。
 私は動物は嫌いだ!汚くて、噛んでくる、よく分からない存在。
はっきり言って猫や犬を飼ってる人の気がしれない。
 
 なのに私の後ろには薄汚れた毛玉がいる。
必死に私について来る、短いあんよを動かしてテチテチと必死について来る。

 私がこの薄汚れた毛玉見つけたのはただの偶然だ。
カラスに突かれていたから追い払った。
見たところ特段にひどい怪我はしていない。
下手に触ると人の匂いで親猫が嫌うと聞いたことがあったからその場を後にしようとした。
しかし、この毛玉は私の足元に擦り寄ってきた。

 私が必死に逃げてもこの毛玉はついて来た。
「あぁもう分かった、君を連れてくからニャーニャー鳴くな」
 私はしつこい追跡者に根負けをし仕方ないので飼うことにした。
獣医のもとに連れて行き、猫を飼うなんて初めてだったから様々なことや注意点を聞いた。
 薄汚れてた毛玉を洗うと、綺麗な灰色の子猫だった。
薄汚れていたからてっきり黒色の猫だと思ったが違うらしい。

 あれから3年、子猫だったあの子は灰色のフワフワな猫になった。
そして私は動物嫌いだったのに、動物が好きになった。
特に猫は大好きになった。
猫を飼い始めて分かったことは、猫飼っているのではなく飼わせてもらっているということだ。
 過去の私が今の私を見たら、どう思うのか。
まぁ猫を飼えば猫の良さに気づくだろう。
 あの時必死について来たこの子のお陰で私の生活は充実している。
小さかったこの子は、今や立派なモフモフになった。
この子を撫でながら私は猫を飼う幸せを噛みしめていた。

11/15/2023, 2:08:35 PM