「あけてはだめよ。」
そう昔母に言われた書斎の引き出しがある。
彼女が亡くなって遺品整理をしている際に思い出した。
どのみち整理しなければならないのだから、と罪悪感を拭うように開ける。
そこには母の日記があった。
開いてみると僕が生まれた日から彼女が亡くなる前日までの思いの丈が綴られており、「生まれてきてくれてありがとう」という言葉が3日に1回は書かれていた。
涙が止まらない。
閉ざされた引き出しもとい母の閉ざされた日記は、あたたか過ぎた。
240118 閉ざされた日記
1/19/2024, 4:43:21 AM