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気のせいだ、気のせいだ気のせいだ気のせいだ!
きっとこれは自分の思い違いで、向こうはそんなつもりなんて全然なくて!そんなこと考えていること自体思い上がりも甚だしくって!

足早にその場を走り出し、頭に浮かぶ邪念を必死に振り払う。
あんなに何も感じていなかった自分の心臓がようやくこの世に生を受けたかのようにバクバク激しく動き出した。
違う!これは今走っているからだ!そう、そうに違いない!

必死に言い聞かせながら走る頭の片隅で、その勘違いに期待している自分がいた。

疲れきった中年の恋物語が、始まることに期待していた。

5/18/2026, 11:49:59 AM