タンッ
私に向く銃口から飛び出すモノは、いつだって虚空を貫く。当たったら痛いんだもの。皆避けるわ。
それが当たり前の事で。そして、その後すぐ相手の首が切れちゃうだけ。そんな単純作業に飽きるのも当然よね。
ダンッ
だから、だからね。
ダンダンッ、ダンッ
逃げ道も塞ぐように的確に。加えて素早く撃つ貴方に。恋にも似た感情を抱いちゃってるみたい。ほら、さっきの避けきれずに掠っちゃって血が出てる。こんなの初めて。
世界に火が灯るように、私と貴方を中心にして色づいていく。気が狂いそうな程鮮やかな極彩色で、白黒だったはずの風景は埋め尽くされて。
スリルってこういうものだったのね。楽しさを教えてくれて、思い出させてくれて
「ありがとう」
──そして、おやすみなさい
『スリル』
11/12/2024, 11:26:03 PM