かばやきうなぎ

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夢と現実



ふと気がついたら懐かしい場所に座っていた。
子供の頃はその場所がとても苦手で、昔ながらの大きな建屋の薄暗い部屋に立つと目に見えない何かが立っているような錯覚を覚えた。

少し温度が下がる大きな部屋には大きな大きな仏壇が二つ。
そこに眠る『仏様』は私にとって叔父と、そして生まれてすぐに亡くなった小さな従兄弟だった。
その片隅の暗い部屋が祖父の部屋で、まるで物置のように雑多な場所にあるひんやりとしたベットにはあまり近寄りたくなかったのを覚えていた。

何故そんな所に立っているのかも朧げで
何故そこに居るのかもわからなくてただ戸惑って居た。
それなのに〝そこに居る〝のがわかる。
そんな不思議な感覚。

そこで目が覚めた。


目が覚めた時は真夜中だった。
不思議と込み上げる郷愁と、護られているという確信じみたものを抱えて布団の中で泣いた。

思ったのは一つ
『会いにきてくれてありがとう』

もう泣き方がわからない現実の中で、苦しみもがく以外忘れた姿にあるかもわからないあの世から、不甲斐ない孫を心配をしてくれたのだろうか。


子供の頃は憂鬱だった祖父母の家があまりに懐かしくて、あまりに優しくて、思い出に支えられて生きている。

12/4/2024, 1:54:19 PM