Chi garden

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「空恋」



(長いので、お時間がある方、休み休みで…)


16歳の夏






まだ、あどけない笑顔




彼は14歳だった。



手を繋いだり、そういう事はしてない。



ただ、たまに


親友の家に遊びに来ていた


「親友のいとこ」




親友は、同じアパートの隣



手前側が、私の家


奥側が、親友の家



なんだか、機械がピカピカしていたり


夜になると光るらしい、パズル


ラックには、お手製のスイッチ配線


そういう「親友」。




ダラダラと話しては、お菓子を食べる


足りない時は、隣に戻り、足す





14歳の彼は


「知らない世界」を語る


彼が、不思議な存在だった。



私より、大人っぽく


知的な、雰囲気の中に、つかめない部分


初めて知った「香水」


初めて知った「なんだこの気持ち?」な、一夏


年齢を気にせずに、人と話している「自分」を知った日々


きれいな手


八重歯


黒髪の寝癖で


真面目な眼差し…


や、子犬の様に、瞳をキラキラと輝かせながら


語る、好きなアーティストの話し


低い声


振動が胸に響く声


嬉しそうな時、黒髪から、耳が…









年月は、ふいに

思い出させる。



もう、二度と手に入らない「不思議な恋」

もう、二度と手に入らない「廃盤の香水」



多分、彼は「私を覚えてはいないな」

と、笑いながら


今、ここに、描いている。




(最後まで、読んで下さり、ありがとうございます)

(ゆっくり、過ごせます様に)




7/6/2025, 1:05:22 PM