みらくるがーる

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「雨音に包まれて」



「別れよ」

突然の出来事だった

彼から告げられたその言葉は

私の頭を真っ白にした

私と彼の出会いは大学で

サークルが同じだったため仲良くなった


色々なことをした

同棲まで考えていた

結婚までするものだと思っていた

そんなくだらないことを考えている途中で

嫌な事が脳裏によぎる


"浮気"


いや有り得ない

彼が私を捨てるわけない

きっと何か理由があるはず

きっと

きっとあるはず

理由

理由を聞かないと

「ね、ねえなんで?」

「実は他に好きな人が出来たんだ」

「後輩の〇〇ちゃんって子なんだけど」

よく知っている女だった

私より背が低く

流行に敏感で

フリフリの可愛いピンクの服を着ていて

手先が器用でよくヘアアレンジをしていて

よく私に話しかけては

彼のことを聞いて

彼にひっつき虫みたく引っ付いて

嫌な女だった

正直嫌いだった

彼に近寄って欲しくなかった

私があの女より劣っていたから

最悪のことを避けるため

あの女が彼をとるという

最悪なことを

だが起きてしまった

どうしようか

この後

あの女を

あの男を

どう壊してやろう

そうだ

そうだわ

ふふ

ふふふふふ

いい考えだわ

我ながらナイスアイデアじゃない

あは、

あはははは

これなら

いいじゃない

と1人口にしていた



ある夜

雨の降った夜

あの女とあの男を匿名で呼び出す

バカはホイホイやってくる

案の定手を組んで歩いてきた

右手にプレゼントを持っておく

とっておきのプレゼント

馬鹿共の目の前に現れる

呼び出した犯人が私だと気づいて

ほっとしたみたいよ

笑っている間にプレゼントを渡しに行く

男の横腹に2箇所

男の胸部に3箇所

男の足に1箇所

とっておきのプレゼント

女の首には5箇所

二度とあの甘ったるい声を聞きたくないからね

女のクソみたいな顔が認識できないように

プレゼントで

目をえぐり

男の口に放り投げた

歯も丁寧に抜いてあげた

私優しい

コイツらの悲鳴は雨音に包まれて聞こえなかったけど

コイツらの顔は十分に見えた

今には泣き出しそうな目はなんとまあ傑作だった

足も子鹿みたいに震えていて笑けて来る

かつて臭いほど臭っていた女の香水も

雨の匂いで微塵も感じない

気持ちがいい

すごく気持ちがいい

今ならなんでも出来る気がする

と思った瞬間目眩がした

あの男に足を刺されていた

ナイフが私の足に刺さっている

いつ刺されたのか分からないけど

フラフラしてきた

「たすけて」

必死に叫んだ

だけど私の元に駆け寄ってくる人はいない

嗚呼私の声が雨音に消されているのか

こんな男に刺されて死ぬより

賢い私は

よっぽどマシな死に方を選んだ

それは

自分の喉に持っていたナイフを刺した

あの女が笑っている気がする

でも今はどうでもいい

私はあいつらに復讐ができたから

それだけでいい

私は死んだ

と思っていた

次に起きたのは病院

病院で目覚めて

治療され

今取り調べを受けている


これが私のしたことです

わかりましたか

警察官さん
















6/11/2025, 12:24:54 PM