あなたの背を見て思う。
何故、そこまで自分を追い詰めて、領民を優先するのだろう。
何故、多くの孤児と家族、同じ一族の家々に強いてまで、
この国の安寧を保つのだろう。
この国は極めて裕福で平和で、領民は思想、宗教、出生を問わず、
その恩恵を享受することが出来る。
楽園、そう呼ばれるに相応しい素晴らしい国だと思う。
しかし、その恩恵の背景には多大なる犠牲が伴っている。
公爵家の人々は、その基準に満たなければ処刑され、
武器や道具などと呼ばれる最下層の人々が、年齢の近い彼らの側近が、
彼らの名前など全てを受け継ぎ、成り変わってしまう。
武器は、幼き頃から他国へ戦争をする。
道具は、幼き頃から他国へ密偵をする。
武器と道具は、多くが幼くして命を奪われる。
その中から成人し、公爵家の人々の側に仕えられる者は本当に僅かだ。
公爵家の人々も大半が武器か道具に成り変わられる。
絶対的なルールと、それにより選ばれた優秀な人々による統治。
そうして、生まれた完璧に等しい国。
確かに、この国の人々は幸せだろう。
しかし、到底口には出せないが、とても歪だと思う。
ここまでの犠牲を出しながらも、多くの人々が尊重される国。
そして、あなたは辛うじて生き残った。
あなたは、常に領民を想う。
あなたは、常に情勢に気を遣う。
それ故、あなたの身体はもうボロボロだ。
毎日のように薬を飲み、辛うじて生きている。
どれだけ、お願いしても、あなたは身を粉にして働き続ける。
先日、彼の大国で革命が起こり滅ぼされたように、
このままでは、この国は制度疲労を起こして滅んでしまう。
あなたと最下層の人々の負担を、少しでも減らしたい。
どうしたら、この国の安寧の犠牲を終わらせられるのだろう。
2/9/2025, 1:50:04 PM