「答えは、まだ」
試験が終わり、数時間ぶりに外に出た。普段と何ら変わりのない新宿の夜、普段の光景であるはずだ。だが、今の私には別物にも感じる。日が落ちようとも眠る気配のない、多種多様な人間が交差する、側は秩序ぶっているくせに本性を隠しきれないそんな街。
とにかく不思議だった
そんな街の中を私は半分浮いているかのような気持ちで巡っていた。試験が終わったらそそくさと帰る予定であったのに、一体何に狂わされたのか理解しようともせず、その狂気の一部と私は成り果てた。
何度も何度も訪れたはずの新宿、色んな側面をこの目で見た。今歩いている道もその記憶をなぞっているだけ、普段の私ならただの作業の如く進むだけ。でも今日の私は狂っている。
人々が発する言葉、走音、我先にと走る車やバイクの走行音、クラクション、あちらこちらで聞こえる音響式信号機の音。秩序なんてあったものでは無い。だが私はそれがオーケストラの様だと感じた。
全くもって不可解な思考である。まるで協調性を感じさせないそれぞれの音を聞きた感想とは思えない。私は内心、ほくそ笑んでいた。
不思議だ。何故だろう。分からない。でも笑ってしまう。その時、私は心の底から濁った欲が溢れたように感じた。他人を押し退けてでも走り、最後には大きく笑ってやろう。そんな欲がどこからともなく湧いて出る。
狂ってる
だがそれが心地よかった。高架下、大きく響く列車の音を聞きそれは増大した。
どうしたのだろう。試験が終わるまでは普段の私であった。何が原因か、誰が原因かなんて考えられる頭も残っていない。身体の節々が己の欲求に従って動く。
まぁ、いいか...
この狂気は今に始まった事では無いのだろう。この狂気の答えを私は先送りにした。
それよりも狂気の宴は始まったばかり、心が満たされるまで浸っていよう。それを境に、私は側を剥がした。
了
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書き途中で半ば放棄状態のやつがあるのですが、
終わりが見えなくなっちゃったんですよね...
9/16/2025, 1:06:17 PM