『子供のように』2023.10.13
「よし、炙りカルビゲームをしましょう」
稽古の休憩中、おもむろにメンバー最年少の彼が言い出した。
「炙りカルビゲーム?」
「炙りカルビを一回ずつ増やしていくゲームです」
「それいいなぁ! やろうやろう!」
すぐに他のメンバーも同意する。
スタートは最年少の彼からだ。そこから最年長の彼、一番身長が高い彼、金髪の彼、そして僕と順繰り順繰り回っていく。
きわめて単純なゲームだが、炙りカルビという似た語感と同じ言葉を繰り返すことでこんがらがってしまい、わけが分からなくなってしまうという、実は少し難しいゲームなのだ。
十回を超えたあたりで、最年少の彼が噛んでしまう。それだけで、僕たちは大盛り上がりだ。
普段、稽古となるとピリピリギスギスしてしまうが、誰かがこうして遊びを提案すると、それに乗っかるというのが僕たちのルールである。
王様ゲームやしりとり、ババ抜きとこれまでいろいろやってきた。
周りの人は子供っぽいと笑うが、そんな子供っぽいのが僕たちが今の距離感を保つ手段なのである。
そんな子供のようにみんなで遊んでいるのが好きです、とファンの方に言われることがある。
二十代の頃は嫌だったが、三十歳を超えると嬉しくなってしまう。
照れ隠しに「そんなことない」と否定するが、それすらもファンのみんなは喜んでくれるのである。
僕たちが六十歳を超えるまで、ずっと子供のようにはしゃいでいようとそう決めているのだ。
10/13/2023, 1:18:58 PM