ごめんねと貴女が言う。
「✕✕✕✕✕✕✕ごめんね」と。
僕は謝って欲しくなかった。
これからを話したかったのに、
貴女の中にこれからは存在しないらしい。
さようならと言えばいいのか。
でも離れられるわけもなく、
呪縛というかなんと言うか。
どうすればいいかわからなかった。
とくに責め立てる気も起きやしない。
ただひたすらに時が経つのを待った。
長い、長い時間が過ぎた。
忘れた頃にふと、あの日を思い出す。
小さな田舎の一軒家。
泣きじゃくる貴女。
鮮血に塗れた浴場。
「産んでしまってごめんね」という言葉。
#ごめんね
5/29/2023, 10:58:26 AM