27(ツナ)

Open App

「君だけのメロディ」

小学生の時クラスにピアノが得意で絶対音感がある子がいた。
家がお金持ちで平凡な家の私からすると、なんだか独特な子だった。 
クラスのみんなも同じで、あの子のことをどこか一線を引いて見ていた。

お昼休みになると必ず1人でどこかへ行くので、ある時思い立って私は彼女を尾行してみることにした。

こっそりついて行くと、音楽室に到着した。
入り口の前でぴたりと立ち止まった。
「…なに?」
振り向いたあの子と目が合った。私は「しまった」と思い咄嗟に
「い、一緒に遊びたいな〜と思って。」
そう答えると、「入って」と音楽室に促された。

慣れた様子でピアノの椅子に座り、残り半分のスペースに私を招き入れた。
「私って…みんなに馴染めてないよね。変人だから。」
少し悲しそうに話すあの子。
「そんなことないよ?…少なくとも私はあなたのこと気になるし、できたら、友達にもなりたい。」
私がそう言うと、あの子はパッと閃いたようにピアノを奏で始めた。
短い演奏が終わると、
「これは、たった今閃いた、君だけのメロディ。…友情の証?ってやつ。…私もあなたと友達になりたい。」
そう言ってあの子は初めて笑顔を見せてくれた。
彼女は今でも私の大切な親友だ。

6/13/2025, 10:53:59 AM