Ryu

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もうなんか、夏については書き尽くした気分。
書いても書いても涼しくはならないし。
めっちゃ怖いホラーでも書ければ、自家発電で涼しくなれそうな気もするけど、そんな才能は持ち合わせていない。
なので、ちょっと怖いホラーに挑戦。
あくまで、ちょっと、だ。

夏。
寝苦しさに目を覚ますと、閉めたはずの寝室のドアが開いていることに気付く。
そこから廊下が伸び、その奥にキッチンがあるが、そこに置かれたダイニングテーブルに、誰かが座っているようなシルエットが見えた。
「お、おい、あそこに誰かいるように見えないか?」
「うん、いるね」
部屋は暗く、外からの街明かりでうっすらと見えるのみ。
怯えながらも、泥棒の可能性も考え、近くにあったハンガーを手にしてゆっくりとベッドを出る。
シルエットは微動だにしない。
だが、間違いなく何かがイスに座っている。
廊下を慎重に歩いてキッチンに辿り着き、そっと照明のスイッチを手探りし、意を決して明かりをつけた。

果たして、そこには、テーブルを前にイスに座る大きなクマのヌイグルミ。
…そうだ。
今夜は妻が友達の家に泊まると言って、一人の夜は寂しいでしょ?とからかって、このクマのヌイグルミをこの席に座らせたんだった。
夕飯時は目の前のクマを見ながら苦笑していたが、今はすっかり忘れていた。
なんだ、「幽霊の正体見たり枯れ尾花」ってやつか。
イイ年した大人が、こんなもんにビビってハンガー片手に構えてしまうなんて、恥ずかしい。
さっさと寝室に戻って…と考えたところであることに気付き、もう私は、あの部屋には戻れそうにない。

…うん、いるよ。

ホラーというより怪談話か。
もちろん、まるで涼しくはならない。
最後のオチセリフは、無い方がいいと思ったんだけど、誰にも気付いてもらえないのも寂しくて。
あ、いや、決して皆さんの読解力をバカにしてるわけではないです。
自分の文章力の問題ですね。

あ、そろそろ、Ryuが戻ってきますので、私は消えることにします。
それでは皆様、快適な夏をお過ごしくださいませ。

7/15/2025, 3:48:09 AM