雨の香り、涙の跡
私のお気に入りの青い傘と、並んで歩く透明傘。傘の分の距離でいつもより少し距離が空くのがもどかしい。だから少し雨は嫌いだ。
その日にあった他愛もないことを話すだけの学校帰り。いつもならすぐに返事が返ってくるはずなのに、その日はどこかテンポが悪い。
「具合でも悪いの?」
くるりと振り返って、足を止めた。暗い表情をしたあなたは一緒に足を止める。
--ごめんね、
雨の音にかき消されそうなほどの声音で呟かれた。その後に続いた言葉も聞こえていたはずなのに、どこかぼんやりと私の中に消えていった。呆けたような私を、どこか苦しそうな表情で見つめてくるあなたの目元には涙の跡があった。
手を伸ばしても届かないこの距離がもどかしい。
雨はまだ止みそうにもない。
-----
余談なんですけど、
ペトリコールって雨の匂いって意味なんですね。
推しの大好きな作品にHOTEL PETRICHORってありまして、今日調べて初めて知りました。(にわかオタクすぎる)(YouTubeにあるからみてみてね)
私は雨の土臭いような独特な匂い嫌いじゃないですね。雨って感じで。
6/19/2025, 4:02:54 PM