卑怯な人

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遠い昔の、何も知らない無垢だった自分へ。

保育園のすみっこで土をほり、幼虫を見つけては「カブトムシの幼虫だ」と、言っていたり、プールで水をかけあったり、保育園の外に出て、河川敷の坂で凧を上げたり、ともだちと「あそこには鬼が住んでる」と言って、ふざけながらもちょっぴり信じていたりしていた自分へ。
今、少し成長した自分が思い出そうとすると、あの時見た空が余りにも青々としていて、かえって辛くなります。
何にも追われず、前を向き続け、走り抜けていた頃が今となっては宝物の様な日々。それを一度でも思ってしまうと、前へ進みたくなくなる。どことなく未来に対する恐怖が、ぼんやりとしながらも私を掴みにかかる。だから、決して振り返ることのなかった無垢な日々を、燦々と輝く日の下で純粋無垢に笑っていたあの、取り返しのつかない過去をもう一度見たいのです。私は、どこで、どうして無くしてしまったのでしょうか、もう一度、見つけることはできるでしょうか。
時々、自分を責める時があるのです。「どうして、こんな人間になってしまったのか」「どうして、過去の自分を無くしたのか」、いくら問い質しても答えの返ってこない虚しみを繰り返している。
成長して、後悔する事も日に日に増えて行きました。生きるのが時々辛いと思っていまう事が増えた。身近な人の死も増えた。「もう元には戻れない」、そんな絶望が私を襲うのです。昔の自分が、あなたが聞けば、どう答えるのでしょうか。それが私にはわからない。だから

私は、あなたが羨ましいし、妬ましい。

2/8/2025, 10:50:13 AM