回顧録

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ただ好きなだけやのにな、なんで邪魔されなあかんのやろう。
俺はあいつが好きで、あいつは俺が好き。それだけ。
好きやから、愛し合ってるだけ。触れたかったから、触れた。
その薄い唇に、その少しニキビができた頬に、やんわりと割れた腹筋に、スラリと伸びた脚に、まだ誰にも汚されていない身体に。俺を求める甘く掠れた声が愛おしくてしゃあないだけやのに。



ーー神様、俺たちが何をしたって言うんですか。
愛した人がただ、家族だっただけやんか。

「きみが、きみじゃなかったらよかった……っ」

そんなんあいつに言わせたくなかった。


「次はしあわせになろうな、しんご」

これで誰も邪魔出来ない。俺たちだけのハッピーエンド。

『善悪』
(唯、愛があっただけ)




作者の自我コーナー
いつもの。ふたりはどうなってしまったんでしょうね。
こういうお題って説教くさくなりがちなので、そうならないように全く文章中では触れないようにしました。
タイトルから何となく香ってくれればなと。

4/26/2024, 4:59:38 PM