七星

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『この世界は』

この世界に生まれ落ちて、今まで生きてきて、一つだけ確実に理解したことがある。

それは、無知な自分に気付くことが、全てにおいて本当のスタートラインなのだということである。

私は一時期、通信制の大学に在籍していたことがあった。その時、膨大な量のテキストを読みながら、毎日のように感じていた。今まで色々なことを知ってきたけれど、私って何も知らないんだな、と。

日本文学のテキストに載っていた言葉を、今も朧げながら思い出す。この世界にはたくさんの本があり、しかし自分はその全てを読むことなどできないという事実に愕然とする、といった内容だ。人間の持ち時間に限りがある以上、読書量にも当然限界がある。私はこの先、あと何冊の本を読めるのだろうか。そんなことを考え、ぞっとしたことを覚えている。

けれども、物知りを気取っているような人たちも、きっと同じなのではないだろうか。当たり前のことだけれど、人間の知識にも必ず限界があるのだから。

自分が何も知らないと気付けたことで、私の見ている世界は幾分輝きと可能性を増した気がする。知りたいことが山ほどあるという事実によって、まだこの世界で生きていきたいと思える。それってきっと、素敵なことなんじゃないか。

自分は何でも知っている、と思ってしまったら、その時点で人は世界を探索する意欲を失う。そして自己満足の殻に閉じこもってしまう。まだまだ、この世界は新しいことに満ちているというのに。

私はもっと冒険したい。新しい世界を知りたい。そのために、これからも多くの経験をして、知識にも触れようと思う。

1/15/2026, 1:29:25 PM