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こどものころは微熱って嬉しかった。
学校休んで見るテレビ、パジャマの上から羽織るモコモコのカーディガン、いつもよりも優しい家族、そして手のひら。

今は非接触型の体温計で1秒足らずで熱がはかれるけど、昔は数分かかった。だから、何かおかしいなと思ったら、まずは家族が手のひらを額にあててくれる。

母、姉、父、弟。
順番に触れる、あたたかかったり冷たかったりする手。誰かが「これやっぱり熱あるよ」と言えば、やっと出てくる体温計。

あのドキドキするような、その手のひらに甘えたくなるような一瞬は、紛れもない幸福の記憶だ。

11/26/2022, 11:43:43 AM