玲奈

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花束

私は、ある日から花束を貰うことが多くなった。
こんなに沢山のプレゼントを貰うのは初めてだったので、私はとても嬉しくなって、大きな笑顔を咲かせて感謝するけど、私の顔を見てくれる人は一人もいない。
なかには花束だけでなく、私が大好きなお菓子や本をプレゼントしてくれる人もいて、本当に貰って良いのか不安になったりもしたが、みんなは私よりもずっと暖かくて、自分の意思で、受け取りたいと思ったんだ。
隣の家のおばさん、今日は頭にアクセサリーつけてるんだ。お母さんったらまた首の裏蚊にさされてる。
変わらない日常が当たり前のように続いていくことが、一番の幸せ。
お母さんの言っていたことは本当だったんだ。
今だって、私が手を振ったって、誰も振り返してくれないじゃない。こんなに大きな声を出してみんなの名前を呼んだって、振り向いてくれる人は、もう1人もいない。
夕日と共に沈んでいくみんなの後ろ姿を見送った後、はじめて、車同士がにらめっこしていたことに気が付いた。
電柱の横には、1滴の雫が落ちていた。

2/9/2023, 11:35:06 AM