夜兎

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体を濡らしか細い声で鳴く小さな命
季節外れの大雨が降った日、君に出会った

キーボードを打つ手を邪魔するかのように
寝そべる姿は可愛い
可愛いのだが、邪魔はするのは意図的なのか

「プリュイ。邪魔しないで」

どかそうとすれば、腕に爪を立て抵抗する
チクチクする痛みに顔をしかめ、息を吐いた

あの大雨の日は兄の命日だった
気持ちが沈み止まぬ涙を拭っていた時に
耳に届いた小さな鳴き声
助けを求める小さな命を見て見ぬふりはできなかった
私を見つめる空色の瞳と見つめ合った

「あぁもぅ。分かったから」

降参しましたとばかりにノートパソコンを閉じた
喉を鳴らし擦り寄ってくるプリュイの姿が、
確信犯のように思えて苦笑い。
甘えん坊で寂しがりの白い猫は膝の上に陣取り
甲高い勝鬨をあげた




9/7/2025, 1:38:03 PM