サクリファイス
もう何も怖くなかった。
もう何も辛くなかった。
その微かな甘い香りが、ぼくを優しく包み込んでくれるのがわかった。
死なんて、怖くなかった。
生なんて、辛くなかった。
神様がいるかどうかなんて、たいした問題じゃなかった。
ここには、最高の人がいる。
ここには、最愛の人がいる。
それだけですべてが完結した。
それだけがすべてを抱擁した。
時計の針が狂ってしまったとしても。
砂時計の砂がすべて落ちきってしまったとしても。
ここには、あなたがいる。
世界に一人だけのあなたがいる。
それは確かに現実で、紛れもない現象。
ぼくのサクリファイスも、過去のもの。
これほどまで、素敵なことはあるだろうか?
10/17/2023, 11:18:12 PM