「まとまりの無い話、目的・結果の無い話、バラバラした話、要領を得ない、まとまりが無い、しかと定まらない、どうでもいい……」
『取り留めも無い』、と書くのか。
某所在住物書きは、今回の題目の、そもそもの意味をネットで調べて気がついた。
俺の執筆スタイルそのまんまじゃねぇか。
「……いや、一応、3月1日の初投稿から、連載風の続き物モドキは貫いけるけどさ。けどさ」
結局、ストーリー進行なんざ、天気と空と年中行事とエモネタで大半を占めてるっぽいこのアプリの、出題されるお題によるから「しかと定まらない」ところはあるし。
物書きはカキリ、小首を鳴らし傾ける。
「で、今日はその、毎日投稿してる『とりとめもない話』に、拍車でもかけろって?」
――――――
私の職場の先輩が、春から数えて、今年2度目の風邪をひいて、なんか知らないけど1日で治ったらしい。
風邪は、仕方無い気がしないでもない。
今東京はインフルとか子供の感染症とかが増えてるらしいし、なにより、私達の職場も休む人がチラホラ少しずつ増えてきてた。
めまいで一回、パッタリ部屋で倒れたらしいけど、「インフルエンザや新型コロナでなかっただけマシ」とか何とか、先輩は個チャで言ってた。
風邪にしたって、1日で治るとか、不思議過ぎる。
絶対、熱が下がったから仕事できるもんの法則だ。
それか実は風邪じゃなくて、私みたいに、寒暖差とかホルモンバランスとかで突然一気に体調崩したんだ。
先輩はソロでバチクソ仕事ができる分、自分ひとりだけで、何でもやり過ぎちゃうから。
仕事しごとシゴト。
シゴトムシな先輩が、どうにも心配。
病み上がりで在宅ワークしてる先輩のアパートに、書類届ける名目で、ちょっと様子を見に行ってきた。
「来るなら来ると、早めに言えば良いものを」
心配も何のその、先輩は部屋でピンピンしてて、普通にパソコン使って仕事してた。
「悪いが、私ひとりで昼飯を食う予定だったから、完全に簡単なものしか無いぞ」
なんならお昼ご飯の準備もできるくらい、すごく元気にしてる。「風邪ひいた」とは何だったのか。
本当にひいたの?なんで1日でここまで治ったの?
「先輩の風邪、実は風邪じゃなくて酷い体調不良だった説、無きにしもあらず?」
「お前に言ったところで、信じちゃもらえない」
じゅーじゅー、ぱちぱち。キッチンでししゃもを焼きながら先輩が言った。
「少なくとも、先日熱が出て、夜までに下がって、今日このとおり、というのは事実だ」
まだ部屋までししゃもの匂いは届いてないけど、
かわりに、小さな1合炊きの炊飯器が、ごはん炊けましたって白米の香りをフワフワさせてきた。
「信じるか信じないかなんて、聞いてみないと、そんなの分かんないもん」
「おまえ、ししゃもは何で食う派だ。辛子マヨネーズか?塩レモン?バター醤油?」
「はいはい先輩の得意技。話題変更。唐突にフってくる『目的も結果もどうでもいい話』」
「今回のは『どうでもいい話』ではないだろう。
で?何で食う?ソースは中濃しか無いが?」
「ぜんぶ」
パチパチパチ。ぱちぱちぱち。
私が先輩の風邪の真相を聞いて、先輩がとりとめもな味つけの話ではぐらかして、
その間に、ししゃもが5匹10匹、順番に焼けてく。
申し訳程度の野菜要素は消費期限当日の半額サラダ。
結局ししゃもの方は辛子マヨ醤油が至高だったけど、
先輩の風邪と治りの謎は正解不明なままだった。
12/18/2023, 6:31:54 AM