空にはぽつりぽつりと星が浮かぶ時間だった。
住宅地と大きな河川の間の小道を1人歩いていた。
さりげない水の音を聞きながら歩くことさえ、ここ最近の生きがいだった。
早朝から自習室に篭もっていたので、まだ足が痺れている。
通りがかった白い家からカレーライスの匂いがして思わず足を速める。
お腹空いたなぁ。
空気が冷えて、体が小さく震える。
そうか、これから夜になるんだと当たり前のことを思って、胸がまた沈んだ。
今はまだ長い長い夜の時間だから、と自分に言い聞かせる。
ちょうど帰り着く頃には完全に日が落ちていて、大きな星座が見えていた。
玄関のドアノブに手を掛けながら、どうか私の受験の夜明けにも大きな星座が残っていますようにと願って、また家に籠るのだった。
10/6/2024, 9:00:14 AM