――綺麗……
そう思わず声を漏らしてしまうほどの美しい女性とすれ違った。
艶やかな髪、透き通るほどの白い肌、そして何より緑がかった茶色の瞳。美を体現したようなこの女性は浮世離れしており、本当に現世に存在するのか疑わしいところだ。
――画になるな。
心の中のカメラを構える。
写真部に入り、4ヶ月が経ったが、いまいちピンと来る写真が撮れずにいた。
あわよくば、心の中のメモリーに保存するだけではなく、実際のメモリーに保存したいところだが、叶わぬ夢。
その女性は信号が変わったため、スタスタと歩いて行ってしまった。
嗚呼、歩いている姿も美しい。
一瞬あった目に心を奪われて仕方がない。
7/31/2023, 9:05:09 AM