去年の九月。
わたしは、貴方との別れを決意した。
理由は、わたし達の倖せを盗まれてしまったから。
とても哀しくて、悔しくて、取り返そうとしたけれど、狡猾な相手には到底敵わなかった。
顔を見るのも辛くなり、結婚した証や貴方に纏わる総ての物を手放した。
其れだけでは飽き足らず、わたし自身も手放したくて、お気に入りのコスメやデートの時に着てた服等を殆どゴミ袋に詰めた。
長かった髪も、自分の手で短く切った。
何もかもが、どうでも良くなった。
わたしなんて要らない。
貴方の居ない世界は、無に等しいから。
ひと月、又ひと月、更にひと月と時は流れ。
其の虚ろで空っぽになった心に、薄ら芽生えて来たのは、後悔だった。
忘れようとすればする程、貴方を余計に思い出す。
思い出せば苦しいのに、涙が溢れて止まらなくなるのに。
別れてしまった後悔の波は次第に高さを増し、わたしを一息に呑み込んだ。
もう、二度と後悔なんてしたくない。
わたしは、あの日誓った筈だった。
貴方への想いは永遠だと。
何十年と生きて来たけど、貴方に抱いた恋心を人生最後と決めた事を。
波に溺れ、打ち上げられて気づいた。
もう、死ぬ迄後悔なんてしたくないと。
わたしは、だから貴方とやり直す決心をしたんだよ。
力強く握ってくれた貴方の手を、離さないって。
クリスマス・イヴに交わした口づけ。
その温もりは、今もわたしの唇に残っているんだよ。
5/15/2026, 12:46:08 PM