例えば真綿で首を絞められるように。
例えばヒラヒラとした紙切れ一つで指が切れるように。
例えばヒタヒタ満ちている水がダイヤを削るように。
相反する性質が、一つのものの中に収まっていることはさして不可思議なことでもなんでもない。相反しているように見えているのは観測者にとっての誤認であって、初めからその両者は剥離することなく一つであるだけのことなのだ。
だから優しくしないでほしい。その優しさが、神経の奥深くまで棘のように入り込んでくる。ズブズブと、グサグサと。タチの悪いバッドステータスのように、その優しさがなけなしの自己を際限なく痛めつけてくる。
そんな風に優しくされては、まるで私は道化以外の何者でもないだろう。いっそ、冷たく突き放してくれ。手ひどくこき下ろしてくれ。
あゝ、こんなに惨めになるくらいならば首を刎ねてくれよ。それが、本当の優しさってもんだろう?
5/2/2024, 11:56:12 AM