烏有(Uyu)

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別れ話をした。
夜の公園で。
滅茶苦茶に泣いた。
別れ話を切り出されたことで感情がぐちゃぐちゃになって、蚊に刺されてとても痒いことすら悲しかった。
どこから修復したらいいのだろうとか、そんなことばかり考えていた。
私の部屋に来て話さなかったのは、きっとすぐ帰るつもりだったからだろうけど、結局1時間後には私の部屋で同じベッドに潜っていた。
肌を重ねることはなかったけど、今思えばわずかな思い出を、私は泣きながら振り返り、感謝の気持ちを述べた。

翌朝、彼がベッドから抜け出す気配に気づいた。
どんな顔をして見送ればいいか分からなくて、泣き腫らした目は閉じたまま。
彼は私の唇に、柔らかすぎはしない、慣れ親しんだ感触を残していった。
私は未熟だったから、まだ愛してくれているのかもと勘違いしていた。

私はまだ知らなかった。
くだらない男が、女を手放す時、カラオケルームを出るギリギリまで歌ってやろうとか、バイキングでできるだけ元を取ろうとか、それくらいの調子でキスをすることもあるということを。
あれだけ好きだった彼が、そんなくだらない男に成り下がったということを。

私はまだ知らなかった。
そんなくだらない男にされたくだらないことで、その後何年も心に傷を抱えて生きていくことを。

15.別れ際に

9/28/2023, 2:16:58 PM